一気にその場の空気が冷たく張り詰め、まるで気温が下がったように寒気さえ起きそうなほど肌を突き刺すよう。


少女は腰に差した刀を握り、敵をその蒼い眼に映し強い視線を浴びせていた。

しかし其処に感情は一切無く、ただ機械的に思わせる殺意

―殺さねばならないと、殺さねば殺されると、殺すことが当たり前だと―

其れしか無く。


す、と抜くと、音もなく少女は間合いを積めて切りかかる。


何のことも無いように相手は受け止め弾き返し、
少女は大きく飛んでしかし其の眼はまだ敵を見据えたまま。

体制を立て直すという表現は些か間違いではないかと思うほど疾風くまた刀を相
手へ振り下ろす少女。


敵は其の大きな鎌で、しかし奇麗に少女の刀を握る右腕を肩から切り落とした。

跳ね飛んだ右腕はごとりと地へ落ち、ぴくりとも動かない。

しかし少女は涼しい顔をして間合いを取り、左手でもう一つの刀を取り出し逆手に握り締め何言か呟く。

跳ね飛んだ右腕は糸で引き寄せられるように少女の元へ戻り傷口にぴたりとくっついた。


何事もなかったように奇麗に腕は接合され、しかし敵は意にも介さぬ様子で見守り、今度こそ少女を殺すため鎌を振り上げる。


しかし鎌は振り下ろされることなく敵は地面へ突っ伏した。
口からは血が流れ出ていて、また腹からはどくどくと紅い命の源が地面に染みを作り草を汚した。


少女は倒れた今まで戦っていた相手であった其れを一瞥すると、
何もなかったように刀の血を拭き取り鞘に納め、
朧月が導く宵闇の中へ姿を消した。










≪呪われた少人形≫