少女はそのか細い腕で、

其の愛しいものを抱き寄せた。



抱き寄せた其れはとても小さく、

けれど生きていることを誇示するように、少女の腕はじんわりと温まっていく。

まだ幼い大きな瞳が少女を見た。

少女は其の愛しいものに優しい微笑みを向け、また其れも無邪気な笑みを返した。



少女が其の愛しいものと出逢ったのは、

しとしとと雨の降る日で、

其れは雨の中に立ち尽くしていた。



光を知らぬような瞳で、

親を知らぬ其のものは、

感情を知らない顔で少女を見上げた。



少女はそっとしゃがみ傘に入れた。

愛しいものは無表情に少女を見つめ、

少女が微笑むと、それを合図に大声を響かせて泣き出し、

少女はただただ優しく抱きしめた。



愛しいものは少女を見上げて、

まだ拙いその言の葉で、精一杯に、少女に愛を伝える。

穢れのない純粋な言葉は、

少女の頬を桜色に染め、

その空間を、染める。





耳元で聞こえた音は愛のあかし、










愛 し い



(いつか、およめさんに なってね)