涙が後から後から流れてきて止まらない。

どうしよう、どうしよう、泣き顔なんか見たくないはずなのに

ああ、ごめんなさい、泣くことしか出来ないことを赦して下さい親愛なるひと







でもこの最後の一滴を流し終えたらあなたが好きだと言った笑顔を取りに行くから

だから少しだけ目を瞑って耳を塞いでいて下さい

手を伸ばさないで、触れないで、そうしなきゃどうにかなってしまう







でも親愛なるひとよ

あなたはもう目の前にはおらずそしてこの世界にもおらず、

目を瞑ることも耳を塞ぐことも、手を伸ばすことも触れることもないのだ

なのにまだそうしてくれるのではないのかと、

期待してしまうのは罪なのでしょうか

夢にあなたを見てしまうのは、いけないことなのでしょうか







問い掛けても返ってくるのは静寂だけで、

それを彼女は耳鳴りのように感じていた。







でも一つだけ変わらない、不変のことが、あります



そして忘れてしまうことも一つだけあります









それは、













忘 却 不 変 症 候 群











(あなたを失った痛みは永遠に消えません、

この悲しみは色褪せず久遠に心に刻まれて、)



(あなたの温もりだけが忘れられて、

あなたを忘れられない事実が余計に苦しめるのです)











彼女は最後の一滴を流しながら微笑んだ